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たとえば、ベートーベンですと、『運命』ではティンパニーしか使いませんが、『第九』では、ティンパニー以外にも、終楽章で大太鼓、シンバル、トライアングルが使われます。 ティンパニー以外で比較的よく使う楽器は、大太鼓(バスドラム)、小太鼓(スネアドラム)、シンバル、トライアングル、タンバリン、でしょうか。カルメンもこの5つは登場します。他には、銅鑼(どら)、カスタネット、鈴、鐘(のど自慢でおなじみの「カーン!」です)、鉄琴、木琴、などなど、きりが無いです。さらには、「木槌で床をたたく」「巨大な鉄板をぶら下げ、それを揺らして雷の音を再現」「布を巻きつけたドラムを回転させて、布が擦れる音を出して風の音を再現」「客席に忍び込んで鳥笛をふく」など、イロ物系は全て打楽器奏者の担当です。 主役のカルメンシータが登場して直ぐに歌う超有名なアリア『ハバネラ』。ハバネラにタンバリンなんてあったっけ?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。主旋律に合わせてリズムを刻んでいる個所があります。 『ジプシーの歌』は、難易度高めです。高速で連打しなければいけないし、「ロール」とよばれる技術も必要です。 小学生の頃、黒板とチョークを使ってこんな遊びをしませんでしたか?長めのチョークを手に持って、力加減を調整しつつ黒板に押し付けて、そのままチョークを動かすと、「ガガガガガガ・・・・」と音をたてながら、点線が黒板に描かれるというやつです。これを駆使してすばやく点線を描く先生もいましたね。この技を、親指をタンバリンの表面に直接押し付けて、タンバリンの淵に沿って親指を動かすことで、タンバリンに対して再現すると、タンバリンが細かく振動し続けるので、切れ目なく音が鳴り続けるんですよ。「ロール」という演奏技法なんですが、苦手な人はなかなかできない(乾燥肌で親指がひっかからずにスーっとすべってしまったり)。『ジプシーの歌』では、この「ロール」が必要になります。 ちなみに、タンバリンに限らず、継続的に楽器を振動させて音を持続させる技法を、「ロール」あるいは「トレモロ」といいます。ティンパニだったら連打しますし、バイオリンであれば弓を細かく高速に動かし続けます。トライアングルのロールも、カルメンではたくさん出てきます。 タンバリンのロールのやり方はもうひとつあって、手で持って振り、シャカシャカ音を出す方法です。これは誰しもがやったことがあると思います。簡単ですが、音の粒が粗くなり、また大きな音しか出せないので、場面によって前述のロールと使い分けます。『ジプシーの歌』の一番最後にタンバリンのロールが大音量で鳴り響いていますが、ここはおそらく手で持って振るやり方でしょう。 『アラゴネーズ』と呼ばれることもある、3−4幕の幕間で演奏される間奏曲は、タンバリンのソロがかっこいい。それほど難しくもないので、「おいしい」役回りですね。私は、オーケストラのパーカッションを始めたばかりのころ、ひょんなことからアラゴネーズのタンバリンをやる機会がありました。楽しかったですね〜 (^^)v 単純な楽器に見えますが、実は奥の深い楽器であることが理解いただけたらと思います。 カルメンのティンパニーは、ベートーベンやブラームスのように、派手にリズムを刻んでオーケストラ全体をリードするような場面はあまりないので、ほとんどの曲に登場しているものの、今ひとつ目立ちませんが、曲の雰囲気作りに影響する場面はあるように思います。 「カルメン」は、死に向かうオペラです。そして、死を強烈に連想させる曲が早い段階からいくつも登場しますが、ティンパニーを使って迫り来る死を表現していると思われる個所がいくつかあります。3幕『カルタの歌』や、4幕のフィナーレなどです。 カルメンのティンパニーは、奏者にとってはいまいち爽快感に欠けるかなぁという気がします。そんな中で、「らしい」働きをするのが、1幕の女工の大喧嘩の場面ですね。 カラヤン版の映像作品は、シンバルのアップ映像で「シャーン!」と始まるので、シンバル好きの私としては嬉しい限りです。 大太鼓は、シンバルと同時に叩かれることが多いです。シンバルと大太鼓はほとんど1セットと考えてもよいでしょう。シンバル奏者と大太鼓奏者は、息をぴったり合わせて演奏するように、と昔先生に教わりました。カルメンでも、シンバルが鳴っているところでは、たいてい大太鼓も鳴っていて、シンバルを重低音で支えています。 逆に言うと、カルメンでは、シンバル無しで大太鼓のみ、という個所はありません。シンバルのみで大太鼓なし、という箇所はいくつかあるんですが・・・。 出だしからリズムを刻んでいますが、なぜか裏拍。 ○1幕 竜騎兵の交代 ソロに近い感じで、チンチンとリズムを刻んでいます。子供のコーラスにかぶるので、可愛らしい音が欲しいところ。 ○1幕 ハバネラ カルメンシータさんのバックで、実はトライアングルも鳴ってます。 その他、2幕・ジプシーの歌、闘牛士の歌、フィナーレ、4幕の闘牛士入場シーンなど、賑やかなところではたいていチャカチャカやってます。
よくあるのは、2幕冒頭の『ジプシーの歌』ですね。曲自体はフラメンコとは似ても似つかぬものなんですが、フラメンコダンサーを配置して派手にぶち上げるのがお約束のようです。フラメンコの手拍子、ステップ、カスタネットが加えられることがあります。 レヴァイン版の映像作品(メトロポリタン歌劇場収録)では、アグネス・バルツァがタンバリン片手に『ジプシーの歌』を披露してくれますが、タイミングがものすごく悪いので、見ていていつも苦笑してしまいます。 同じく2幕、ホセをもてなすためにカルメンシータが踊る場面のカスタネット。スコアに書いてあるので、オーケストラの奏者が演奏してもいいんですが、舞台上のカルメンシータに叩かせることも多いです。前述のバルツァは、お皿を割って、その破片を手にとり、カスタネット代わりに使ってカチカチやる、という粋な演出を見せてくれます。最初の1発を強く叩きすぎて、手の中で破片がさらに細かくなってしまい、ちょっと困っているところがまたいい。(^_^;)
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