×

[PR]この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

TOP 書斎Carmen 写真館 更新履歴 リンク 日記(ブログ)
right
  バンダ  (2004.08.15)
バンダって何?
 作曲者の指示で、オーケストラ本体以外の「別働隊(1人の場合もありますが)」を設けて、舞台裏などの別の場所に奏者や歌手を配置して音を出させることを「バンダ」といいます。遠くで音が鳴っているかのような雰囲気を出すために、舞台袖・舞台裏などで演奏したり、四方から音が聞こえてくるようにするために、客席の横、後方から演奏を行ったりします(レスピーギの「ローマ3部作」などが有名です)。オペラでは、オーケストラは舞台上ではなくオーケストラピットにいますが、演出のために舞台上で楽器演奏をすることがあり、これも「バンダ」と呼びます。
 カルメンでは、バンダが多用されていて、しかも一つ一つがとても効果的なんです。ビゼーの才能を感じることのできる、カルメンには欠かせない要素だと思います。今回は、カルメンの名脇役、「バンダ」にスポットを当ててみたいと思います。
・1幕 竜騎兵の交代
 子供の合唱が入る曲ですね。まずバンダのトランペットが遠くで響き、表のラッパがそれに応えます。ラッパを吹きながら奏者が行進して舞台に現れることもあります。トランペットは、カルメンに限らず、バンダでよく使われる楽器です。
・2幕 Vivat Vivat Escamillo♪
 カルメンの歌と踊りで酒場は大いに盛り上がりました。マスターが店じまいをしようと客を追い出しにかかったそのとき、酒場の外から、闘牛士達の歌声が聞こえてきます。闘牛場で勝利したエスカミーリョを称え、意気揚々と引き上げていく闘牛士ご一行の様子がよく表現されていると思います。このあとはいよいよエスカミーリョの登場です!いやがおうにも気分を盛り上げてくれるバンダです。このバンダを聞くと、毎回「くるよくるよー!」と呟いてしまいます。
・2幕 ホセの鼻歌?
 酒場に向かって歩くホセ。遠くでひとしきり歌った後、だんだん酒場に近づいてきます。愛するカルメンシータにやっと会える、ルンルン気分で足取りも軽い。自然と奏でられた鼻歌なのか? それとも、初めて訪れるアングラ酒場、本当にカルメンシータにはまってしまっていいのだろうか、ミカエラはどうする。不安だらけの自分を鼓舞するために歌っているのか?  後者の解釈はひねりすぎかな、とも思いますが、バンダとはいえ、やたらと気合の入った馬鹿でかい声で歌われることが多いので、半分やけくそになってるんじゃないかと、つい心配してしまうんですよ。
・2幕 帰営ラッパ
 洒落が効いていて大好きな場面です。ほとんど喜劇。
 カルメンシータがホセを歓待するために、ダンスを披露していると、どこからともなくラッパの音が・・・。竜騎兵を招集するための帰営ラッパです。「空から音楽が沸いてきた。神様ありがとう!」と、ラッパに合わせて嬉々として踊るカルメンシータと、「やべ、帰んなきゃ」と身支度する勤番侍ホセ。自由奔放なカルメンシータを象徴する妖艶なダンスに、それとはまったく相容れない生真面目ホセを象徴する軍隊ラッパをかぶせてしまうこのアイデア、秀逸です。
・3幕 エスカミーリョ、まだいたの?
 母が危篤と聞き、ミカエラとともに実家へ戻ることにしたホセ。「だが、また会おうぜ」とカルメンシータに捨て台詞、ミカエラに手を引かれ去ろうとしたその時、遠くから雄々しく響く、エスカミーリョの「闘牛士の歌」・・・。
 ・・・なにやってんだよこのおっさん。まだいたのかよ。でも最高です。ビバ、エスカミーリョ!
 この「闘牛士の歌」を、カルメンシータ役の歌手がどのような表情で聞くのかも見所です。
・4幕 闘牛場の歓声
 単なる演出にとどまらず、ストーリーテリング、心理描写においても劇的な効果を上げているバンダです。
 闘牛場で観衆の注目を一身に浴び、まばゆいばかりに輝いているエスカミーリョ。そして彼を称える歓声が闘牛場の周囲に響き渡ります。一方で落ちるところまで落ちたホセ、愛する女は、他ならぬその男、エスカミーリョの元に走ってしまったのです。エスカミーリョとホセ、二人のコントラストが、バンダの歓声によって残酷なまでにくっきりと浮かび上がります。歓声が、ホセを絶望の淵に追い込こんでいきます(カレーラスはバンダの歓声が轟くこの場面で、両手で耳をふさぎもだえ苦しむしぐさを見せてくれます)。
 そして、観衆が叫びます。
  「心臓を一突きだ!」
 エグいですねー、この一声は。
 ナイフで刺され、崩れ落ちるカルメンシータ、それを見つめるホセ。金管楽器が刻む軽快なリズムに乗せて、バンダの合唱による「闘牛士の歌」が響きます。華やかな合唱と、その裏でオーケストラが奏でる悲哀に満ちた伴奏が一体となり、ホセとカルメンシータを包み込みます。どこまでも悲しく、そして美しいシーンだと思います。
 最後のバンダ合唱の最中にホセがカルメンシータを刺す演出もありますが、個人的には、バンダの前に刺殺は完了させてもらいたいです。ゆっくりと倒れ、動かなくなるカルメンシータと、彼女を抱きしめるホセ。舞台上はあくまで静かにしてもらい、バンダの合唱を堪能させてほしいですね。
Carmen トップへ
TOP 書斎Carmen 写真館 掲示板 更新履歴 リンク 日記(ブログ)