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ただ、インターネットは長文でじっくりと論説を行うのにはあまりむいていないメディアですので、手軽に数多くの情報を得ることができるかわりに、深く突っ込んだ考察に触れることは難しい。インターネットばかりに頼っていると、表面的な「雑学」レベルの知識しか身につかないのでは、という気がします。 というわけで、カルメン、あるいはビゼーについてじっくりと書き込んだ本を読んでみよう、と思い立ちまして、本を探してみることにしました。 このような時、力を発揮するのは、やはりインターネットです。インターネット書店の「amazon.co.jp」はしょっちゅう入り浸っております(主にクラシックのCDやオペラDVDを買うためですが)。また、地元の図書館の蔵書検索も、わざわざ図書館まで出向かなくてもインターネットで行えるようになり、予約までできるのでとても便利です。 深い情報は得られないけれども、調査のきっかけ、手がかりを得るにはとても有効なのがインターネット。しかしながら、そこからどう深くつっこんでいくかは、やはり個人の技量次第、という使い分けが必要なのかもしれません。
本の中身ですが、コンパクトにまとまっていて読みやすく、それでいて内容が薄いということもなくて、ビゼーの生い立ち、人物像、当時のフランスの政治的背景、そしてオペラ「カルメン」について、満遍なく丁寧に触れられています。 ただ、気になったのは、かなりビゼーびいきに書かれていることでした。「人間ビゼー」の項では、とにかくビゼーを人望の厚い好人物として褒めちぎっています。私としてはビゼーの「暗部」についても知っておきたいと思っていたので、その点では物足りなさを感じました。 一方のカルドーズ氏の著作ですが、こちらはかなり「濃い」内容になっています。ビゼーが友人知人に送った手紙や日記を丹念にたどりながら、ありのままのビゼーの姿を描こうとしています。 冒頭、いきなりビゼーについてこのように評しています。「彼は、生を享けて、三十七歳で死ぬ。悲劇的であり得たのかもしれないが、平凡な生涯である。主役(ヒーロー)であり得たのかもしれないが、人並みの域を出てはいない。」そして、ビゼーを「平凡なあくせく働く小市民」(訳者あとがき、より)として描いており、ビゼーの度量の狭さを遠慮なくこきおろすこともしばしばです。 「愛」「歴史」「劇場」の3つの章から成り立っていますが、「愛」ではビゼーの女性遍歴(!)が、「歴史」では、ビゼーの政治思想が、「劇場」では職業音楽家としてのビゼーの活動が、それぞれ記述されています。 1度や2度の読解では半分も理解できない、というのが率直な感想です。フランスの歴史・時代背景を自分なりに勉強してから、再度この本にチャレンジしたいと考えています。 今後、本サイトの「カルメン」コンテンツでは、この2冊の文献を適宜参照していくことになると思います。
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