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組曲 (2004.09.12)
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クラシック音楽には、交響曲、協奏曲、などの分類がありますが、その中で、『組曲』と称されるものがあり、通常、短めの曲がいくつかまとめられたものを指します。
有名なものとしては、ホルストの『惑星』、ムソルグスキーの『展覧会の絵』、チャイコフスキーの3大バレエの曲を抜粋した組曲『白鳥の湖』、『くるみ割り人形』、『眠れる森の美女』、そして、組曲『カルメン』があります。
チャイコフスキーのバレエ組曲や、カルメン組曲は、いってみれば「本家」のバレエ、オペラの曲を美味しいどこどりしたもので、映画のサウンドトラックを聞くのと似ているように思います。ただ、組曲版は、当然のことながら出演者や舞台セットを用意しなくても、オーケストラのみで演奏でき、また音楽自体がそれ単体でも充分鑑賞に耐えうる完成度を誇っているため、上演(演奏)回数は、おそらく本家よりも多いのではないでしょうか。また、組曲は聴いたことがあるけれど、バレエやオペラは見たことが無い、という人もいらっしゃるかと思います。
かく言う私もその一人で、組曲版のカルメンはCDも持っていましたし、オーケストラで演奏をしたこともありましたが、オペラ全編を通して見たのは随分後になってからで、その時からカルメンにはまってしまい、カルメンのサイトを立ち上げることになった、といういきさつは、「はじめに」でも述べております。
くるみ割り人形は、チャイコフスキーが自ら編曲して組曲にしていますが、カルメン組曲は、ビゼーの死後、カルメンを世界的大ヒット作に仕立て上げたカルメンの友人、ギローによって編曲されたそうです。しかしながら、オペラからの抜粋・編曲であるという性質上、もともとアレンジなんだから・・・というわけで、指揮者がそれぞれ勝手に自分好みに変えてしまうことが日常茶飯事のようで、CDをいくつか見てみましたが、第1、第2組曲に分かれているのは共通しているものの、その内容は一定しません。
手元にある、日本楽譜のスコアでは、第1組曲、第2組曲ともに5曲づつですが、CDを何枚か確認したところ、このスコアにない曲がいくつか付け足されるのが、むしろ一般的なようでした。
ここでは、含まれる曲が多めで、いくつかのCDで共通して使用されていた、フリッツ・ホフマンの編曲と思われるカルメン組曲を紹介したいと思います。
カルメン 第1組曲 |
No. |
曲名 |
オペラのどの曲? |
1. |
前奏曲 |
前奏曲後半(運命のテーマ) |
2. |
アラゴネーズ |
3−4幕間奏曲 |
3. |
間奏曲 |
2−3幕間奏曲 |
4. |
セギディーリャ |
1幕 ホセを落とすカルメンシータのアリア |
5. |
アルカラの竜騎兵 |
1−2幕間奏曲 |
6. |
闘牛士 |
前奏曲前半(一番有名なやつです) |
基本的には、序曲と間奏曲で構成されています。歌のない曲なので、原曲そのままで演奏されます。
ただ、曲順と名前が紛らわしい。「前奏曲」だと思って、シンバルシャーン!で派手にぶちかましてくれると思って身構えていると、弦楽器の重苦しいテーマが流れてきます。最後になぜか「闘牛士」と称して、前奏曲が出てくるし。
セギディーリャは、カルメンシータが縛られたままホセを口説き落とすアリアです。カルメンシータの歌う旋律は、イングリッシュホルン(だと思うんですが、いまいち自信がない。オーボエを一回り大きくした楽器で、オーボエより低い音がでます。別名コールアングレ)を中心に、管楽器がソロで奏でています。
カルメン 第2組曲 |
No. |
曲名 |
オペラのどの曲? |
1. |
密輸人たちの行進 |
3幕冒頭 密輸人の合唱 |
2. |
ハバネラ |
1幕 カルメンシータ登場直後のアリア |
3. |
夜想曲 |
3幕 ミカエラのアリア |
4. |
闘牛士の歌 |
2幕 「闘牛士の歌」 |
5. |
衛兵の交代 |
1幕 児童合唱のある曲 |
6. |
ジプシーの踊り |
2幕 ジプシーの歌 |
第1組曲と違って、こちらはアリア・合唱曲のオンパレード。当然ながら、アレンジして楽器で置き換えなければなりません。
たいていは、管楽器のソロや、弦楽器の合奏などをかわるがわる使って補っているのですが、ちょっと変わっているのは夜想曲。ほぼ全体にわたって、バイオリンのソロでミカエラのパートを演奏しています。コンサートマスターのソロ演奏でしょう。
そして、「闘牛士の歌」は、なんと、エスカミーリョの代わりに、トランペットがソロで歌いまくります。えらく軽快な曲に聞こえます。トランペット奏者にとってはなかなか難度の高いソロではないでしょうか。
「オペラの」カルメンに親しんでいる方にとっては、組曲は「まがい物」に見えてしまうかもしれませんが、オーケストラのみで演奏できる組曲版は、演奏会で取り上げられる機会が多く、気軽に生で「カルメン」に触れる機会を提供してくれます。あるいは、アマチュアの愛好家でも、カルメンを演奏できるチャンスを与えてくれるわけで、決して捨てたものではないと思います。
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