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10.ムエタイの夜 その1

 さすがの私も、ちょっと・・・

 夕食の後、時間が余ったので、オプションでムエタイの試合を見に行くことにしました。
 ムエタイはタイの国技。いくつもあるスタジアムのいずれかで、ほぼ毎日試合が行われているそうです。
 私のいるツアーのグループでは、ムエタイ希望者は私一人。バンコク各所から外国人観光客の観戦希望者を車で拾い、まとめてスタジアムまで送迎するといことで、車の到着を待ちます。
 やがてバンが到着、乗り込んだんですが・・・。
 先客が2人いらっしゃったんですが、坂上二郎氏と金田龍之介氏を足しで2で割ったような初老の東洋人男性と金髪の美女が、ぴったり密着して座っています。しかもよく見ると手をつないでいます。


 ・・・気まずい。


 しかし、黙っているのも不自然なので、とりあえず声をかけてみます。


Hi, Kickboxing?
坂上氏 Yes. Where are you from?
Japan. And you?
坂上氏 Hong Kong.
And?
美女 Russia.
Oh!, Russia
 何で「Oh!」なんだ、と心の中で自分につっこんでしまいました。
 意外にも非常にフレンドリーでにこやかに話し掛けてくれます。このあと二言三言会話を交わしますが、英語力に自信がないこともあり、適当に切り上げます。
 その後、二人は「ラブラブ」モードへ移行。私の後ろのシートに二人は座っていたため、背中越しに、なにやら英語で囁き会っているのが聞こえてきます。この時ほど、


 英語を真面目に勉強しておけばよかった


と後悔したことはありません。
 ただ、盛んに坂上氏の口から「money」という単語が出てきていて、お金がたくさんある、銀行からお金が「生まれて」くる(利息だけで膨大な額ってことですかね)、君はいっさいお金を出す必要はない、みたいなことを言っているのは聞き取れました。金にまかせておねーちゃんを口説いているのは明らかです。
 で、私の頭の中ではさまざまな推測がぐるぐるまわっておりました。


「このおっさん、香港出身で大金持ち、となると、ひょっとしたら、香港マフィアのボスかもしれん。うわー怖ぇー。うかつにパツキンのおねーちゃんに話し掛けたりしたら、何されるかわからんなぁ。
 でも、まてよ、そんな大物がボディーガードもなしでこんなしけたバンに乗ってるのもおかしいな。第一、そんな大金持ちなら、俺みたいな一般の観光客が利用するツアー用のバンなんて使わずに、運転手つきの専用車でスタジアムまで行ってもよさそうなもんだよなぁ。このおっさん、ひょっとすると詐欺師か何かかもしれんぞ。」



 乗ってた車は、例によってこんな感じ。

 我ながら最高にくだらない思考をめぐらせております。と同時に、そんな自分を「俺ってアホやなぁ」と、半ば感心し、なかばあきれながら楽しんでいる、もう一人の自分がいたのでした。
 結局あの二人が何者なのかは分からずじまいですが、あのような状況に出くわしたときの、私自身の反応、思考が、自分で言うのもなんですがとても面白かったです。動揺しつついろんなことを考えている自分と、こいつアホなこと考えとるなぁとそれを楽しんでいるもう一人の自分がいたことが、とても印象的な出来事でした。
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